「食いしん坊、身を助ける?」(99.10.31.)
今日は10月31日、ハロウィーンの日。
この日をお祭りとするのは欧米の風習…というかキリスト教にまつわるもので、11月1日の万聖節(諸聖徒日)の、前の夜、という意味らしいです。
万聖節には、日本のお盆のように死んだ人の霊がこの世に戻ってくるらしくいい霊も悪い霊も戻って来ちゃうから、悪い霊避けのために
お化けカボチャをつるすとか1日になるといい霊が戻って来ちゃうから、31日のうちに悪い霊が大行進することになっててそのまねっこで
遊ぶお祭りだとか、もともとキリスト教とは関係なくはじまったとか…うろおぼえですみません(笑)。
実際、諸説あるようですね。とにかく、祭日のひとつになっているようです。この日仮装した子供達が街に繰り出し、
よその家にいって「Trick or Treat! (お菓子くれなきゃいたずらするぞー!)」とお菓子をもらいにいくことができる日、と聞いています。
私は一度だけ、ハロウィーンのパーティーに呼んでいただいたことがあります。
あれは15歳の頃、青森県三沢市の米空軍基地内にあるアメリカ人の家庭(仮:Sさん宅)を訪問する
機会がありました。親しい友人(仮:Nちゃん)が家族同士で付き合っていた家に、私も連れて行って
もらえることになったのです。もちろんパーティーに参加できるのはとても嬉しいのですが
突然のお誘いだという驚きと、英語を塾や教室以外で使うのが初めてという不安でなんとも複雑な
訪問となりました(教科としての英語は得意な方でしたが、実際つかったことはほとんどなかったのです)。
そのお宅に到着しすると、Nちゃん家族はSさん家族と玄関先で互いに抱き合ったり、久々の再会を喜ぶような会話を始め、とても楽しそうでした。
私は…と言えば、「ようこそ初めまして!楽しんでいってくださいね。」とSさん家族の奥さんが声を掛けてくれるのに
曖昧な笑みと握手をかえすのが精一杯でした。
相手の言うことが分からないわけではないのです。ただ、言いたいことをどう表現していいのか分からない、
頭の中で文法を弄り回し、思いついた単語や文も果たして間違っていないか、それより私の発音って通用するのか、笑われないか…
そんなことばかりが頭を占領し、何も話すことができません。
その後お茶を飲みながら話をしているときのSさん家のお父さんの「ふみこはとてもSHYな子なんだね、もっとくつろいで」という言葉は、
嬉しくも悲しくもありました。自分がおとなしいなんて考えたこともなく(実際そうでもなく)、何も行動できない自分を確認されたようで
ますますふさぎそうになっていきました。
そのとき、隣の広い部屋から奥さんの声…「Everbody, Dishes are ready!(みんなー、料理ができたわよ!)」
みんなでその部屋に移動すると、目の前にはおいしそうな料理の山!!ローストターキーを始め、サラダ・ポテト・ミートローフ・スープ…
更にケーキが数種類!見たこともない光景でした(笑)。
みんなが順々に、自分のお皿に好きなものを取っていきます。私も目移りさせながら料理を取りました。
ある大皿の前でSさんの奥さんが料理を盛るのを手伝ってくれていました。この時、私はこの料理を見た感動を
どうしてもどうしても奥さんに伝えたいと思い…英語の教科書(New Horizon)にあった文を思い出し、Sさんの奥さんの前で突然、
「These smell delicious. My mouth is watering.(おいしそうですね、わたしもうヨダレが出てます。)」
と伝えました。
今までほとんど口を開かなかった私が急に何を言いだしたのか、奥さんはびっくりした顔をしていましたが、そのあと
「あなたの顔がそう言ってる。喜んでくれて私も嬉しいわ、たくさん食べてね」
とすぐに笑顔で答えてくれました。
その瞬間、私の中の不安や緊張がすべて吹き飛び、心がスッと軽くなったのです。
あとは美味しい料理をいただきながら、学校のことやSさんの家庭のこと、Nちゃんもびっくりするほどたくさん話をして
暗くなるまで素敵な時間を過ごしました。
もちろん、私の英語の発音が急によくなったとか文法を完璧に使えるようになったわけではありません。
要は気持ちの問題、不安を取り除いて、一歩先に進めるかどうかだったのでしょう。
と言うのは簡単。でもこのきっかけを見つけられるかどうかはなかなか難しいと今でも思います。
このときは偶々「食いしん坊な私」が不安を取り払ってくれました。
偶然に頼り続けるのは進歩がない。次のこんな機会には、私はどうしているのか、不安ですが楽しみです。
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