「子どもたちを責めないで」(04.06.12.)  


今回は、本当に本当に「そういえば」です。ふと思い出した、記憶の片隅に残っている事柄、今すぐ消えてしまっても可笑しくない、
例えるなら、春の終わりに、桜の木にわずかに残った花びら、また例えるなら、給食時間の終わりに、ケースに残っている一個のプリン、
また例えるなら、最近になって突然フリーズした後電源が落ちがちな携帯のメモリ、また例えるなら、まぐれで体重が落ちたときのその数字。

そんな、小さくて、でも私にはとっても大事なことを宝箱に残しておくために
このページを作っているはずなのに、今までの私と言ったら何でしょう。宝箱がホコリをかぶっているではありませんか。
こんなことでは箱の中で大事な物たちが干涸らびてミイラになったり、あるいは時期が時期なら、緑色のふわふわしたコートをまとって
物体Xに進化したりするかもしれません。そうならないために、そう私の歴史を風化させないために、作ったページなのに・・・


前振りの長さは本文のつまらなさに比例する (byマルクス=アウレリウス(ローマ五賢帝の一人、在位AD161〜180)・・・嘘です)


えーさて。子どもは、見る物聞く物すぐに吸収する能力を持っています。
それだけではありません、限りない想像力をもって消化し、いろんな形に変え、新しい物を作り出します。
だから人類は発展するのだろうし、時には大人たちの凝り固まった心をほぐします。
いや、ほぐすだけではないこともあるでしょう。その自由な心の産物を、大人の心は受け入れることが出来ず、
時に不快だと思ってしまう、時には頭ごなしに叱り付けてしまう。
無理からぬことです。現在の私も例外ではなく、子どもたちの自由な会話をほほえんで受け入れることは出来ません。
電車のホームで無邪気にはしゃぐ小学生の言葉を「お行儀悪い!」と感じてしまったり。

そう考えると、私はなんと恵まれた子ども時代を送ってきたのでしょうか!

あれは、小学校3年の冬。校内壁新聞コンクールが催されました。
各クラスでは班単位で新聞を作ります。秋頃から少しずつ話し合いを重ねて作り上げる大きな新聞。
埋め尽くされていく地域の話題や、大好きなアイドルの(勝手な)ランキング、イラストコーナー、
自分たちの好きな話題だけで方眼付き模造紙。内容は自由、配置も自由、使う色も自由。
もちろん新聞のタイトルも自由。『ぼくたち新聞』『○○(学校の名前)タイムズ』『大好きニュース』…
そして、優秀な壁新聞として選ばれると、校長先生から賞状がもらえます。

私が参加した班の新聞は、学年の優秀賞(3位ぐらい?一班ではありませんでしたが)に選ばれたのです!

表彰は、放送朝会で行われました。私の学校は寒い地域にあったので、冬の校内朝会は放送で行われていました。
私の班の代表が、前もって放送室に呼ばれていたので、班員みんなでわくわくしながら、私たちの名前が呼ばれるのを待ちました。
さぁ、その時がやってきた…校長先生の声が、私たちの新聞のタイトルを読み上げます。

「3年、優秀賞。 3年1組、『エマニュエル』 。以下同文。おめでとう」

途端に、高学年の教室から聞こえる大笑い。
えっなんで??私たちはキョトンとするばかりでした…だって、そのころ「エマニュエル坊やは人気者」が流行ってたし、
何か可愛いタイトルにしたいよね、エマニュエル坊や可愛いよね、でも坊やまでつけたら長いし変だよね、
じゃあ「エマニュエル」がいいねぇ!そうだねいいタイトルだね!! ってつけたんだけど、何か変かなぁ…?

ふんふふん ふふんふ ふふふん えまにゅえ〜る…
カタカナにすら書き起こせない歌とその映画を知ったのは、それから随分してからのことでした。
あんなタイトルを、何事もないかのように全校放送で読み上げてくれた校長先生、本当にありがとうございました。
おかげで、こんな大人ができあがっちゃいましたよ、てへ☆

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